近年、一人1台ともいわれるほど普及したパソコン。特に自己表現ができるツールは日々進化しています。フォトショップやイラストレーターなどDTPアプリケーションも昔よりも簡単に使えるようになり、またもっと手軽に使えるアプリも誕生しています。
ロゴを一つ作るのも昔とちがって、うんと簡単になりました。ここでは、山という文字を使ったロゴの作り方についてご説明していきます。
山、象形文字であるこの漢字は、実はたくさんの企業ロゴとしても使われています。海苔で有名な「山本山」をはじめ、ざっとネットで検索しただけでも100以上は出てきます。日本は国土の7割が山ともいわれているほどの火山大国。
山という言葉自体にとても深く関わっている国民とも言えます。つまり山を使った人名や地名も多いということも言えます。
山の付く代表的な苗字、「山田・山本・山口」合わせて約24万人いると言われています。それだけ山の付く人が多いということは、それだけロゴにしたいと思う人も多いということ。「山」を使ったロゴは同じような名称にならないように、同じデザインにならないように、と配慮が必要な文字だと言えます。
ロゴにするものは、1.会社名、2.ブランド名が代表的です。特にこの「会社名」というのは、創業者の苗字をもじって作ることも多いものです。家督のように、事業を継承していくことを是としているため、創業家の苗字を社名に使うことは決して珍しくはありません。
それゆえに24万人近くもいる「山」がロゴに使われる可能性はとても高いと言えます。
いざ山をロゴに使おうとすると、そのシンプルなフォルム故にアレンジしにくいと感じるはず。日本語は欧文と比べて、フォント数が少ないのが特徴。平仮名・カタカナ・漢字・数字と作る文字の数が欧文よりも圧倒的に多いため1つのフォントを作るのに5年近くかかることなども良くあります。
このフォントの少なさが、漢字を使ったロゴづくりの難しさを高めています。誰もが簡単にデザインできる時代だからと言っても、こうしたシンプルなフォルムの「山」をロゴにするのは、逆にとても難しい作業なのです。
デザイナーは既存のフォントを加工して、ロゴを作ることがありますが、その作り方は決して一般的とも言えません。時には自分で手で描いて、スキャンして取り込んで改めてパソコン上で清書して、ロゴを作成することもあります。
ロゴを作るということは、デザインをするということと同じ意味なので、その方法は限定されている訳ではなく、デザイナーの数だけ、作り方や仕上がったモノが異なるというのは、当然だと言えます。
ロゴは先述したとおり、1.会社名、2.ブランド名で使われることが主流です。ここで求められるエッセンスとはわかりやすさ、発音しやすさ、見やすさです。そして、一度世に出したロゴはなかなか変えることができません。現実的に、ロゴの変更は「商標確認をして、独自のものである」ということをクリアしていれば問題ないのですが、確認を怠ると他社の商標権を侵害するといった事態にも遭遇してしまいます。では、この場合「山」を使ったロゴとはどういう進め方で作ればいいのでしょうか?
商標には「図形」でその権利取得をされている場合があります。
だから、作ったロゴは「図形」としての独自のものであらねばなりません。そのためにも、弁理士などを通じてきちんと調べ上げておく必要があります。ロゴは市場でお客様からどう思われるかということが最も大切ですが、その事業やブランドに関わる人たちのマインドを一つにまとめ上げる機能も持ち合わせています。
つまりそこには深い帰属意識が生まれるものなのです。
これらの点から、山というありふれた漢字で、かつ誰もがデザイナーになれる時代だとオリジナルの作り方でロゴを作るというのが一番いい方法だと言えます。
既成のフォントなどは敢えて使わず、手描きの文字をスキャニングしてデーター化してパソコン上で着色して作り上げるのがおすすめです。こうして作ったロゴは、オリジナルのロゴであると言い切れるぐらいきちんと作り上げることがとても大切です。
手描きでロゴの元データを作れば、おおむね誰かが作ったロゴとバッティングする可能性は低減します。とはいえ、手描きロゴの作り方にはどんな方法があるのでしょうか?
1.クレヨンで書く
2.筆で書く
3.鉛筆などで袋文字にして書くタッチが異なる3種類で作った文字をスキャニングしてデータ化すれば、バリエーション豊富なロゴができあがります。これなら、他のロゴデータとバッティングしにくいでしょう。
山というありふれた文字も上記の方法でデザイナーが作りこめば、その分思い入れも深まるというもの。ロゴは会社の中に愛してくれる人がいればいるほど、そのブランド力が増し力強いものになります。例えば経営理念はパッと暗唱できなくても、自社のロゴは複数の類似ロゴの中からでもサッと選べるはずです。
つまりありふれた文字を使ったロゴは、うまく作りこめば社員自体にも認知されやすくなりそれが刷り込まれるような「愛社精神」へと醸成していくのだと考えられます。ロゴひとつがこうした会社へのロイヤリティを高めるためのツールになり得るだけではありません。
ロゴのもっとも大切な役割は、世間にどう思われるかといったブランディングの側面です。
ロゴの最大の役割は、ブランディングを通じて世間に自社を認知してもらうということ。会社のことは良くわからなくても、「このロゴ知っている」なんていう人たちも多いはずです。採用の場面でも、ロゴを通じての認知度向上はとても大切です。
お客様がその会社のサービスを受け取る際にも、こうした認知が働きかけ、心の障壁を取り払うのです。つまり、ロゴそのものがブランディングや会社自体の業績がうまくいくかどうかのカギを握っているのです。
ロゴは企業の認知を決定付ける役割を果たします。ブランディング・消費行動・求人の応募数、さまざまな側面からとても重要な意味を持ちます。今回のような山というありふれた文字をロゴにする場合は、差別化を強く意識しなければならないため、とても練ったロゴができる環境にあります。
こうして産み出したロゴは、確実にその企業の精神的な支えや共通意識のような存在になり得ると言えます。